セールスイネーブルメントとは?注目される理由やメリット
セールスイネーブルメントとは、営業担当者が最大限の力を発揮できるよう、さまざまな支援を行うことです。例えば、営業に必要な知識やスキルを体系的に教育したり、最新の営業ツールを提供したり、営業活動のデータを分析して改善点を特定したりといった活動が挙げられます。
この記事では、セールスイネーブルメントの具体的な内容や、導入によって得られるメリット、セールスイネーブルメントを導入した企業の事例などを詳しく解説します。
1. セールスイネーブルメントとは?言葉の定義
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業組織が継続的に成果を出すための仕組みを構築することです。言い換えると、営業担当者が最大限の力を発揮し、より多くの売上を達成できるよう、組織全体でサポートしていく取り組みです。
1-1. セールスイネーブルメントの具体的な内容
セールスイネーブルメントにはさまざまな取り組みがありますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。
営業のトレーニング
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- 自社製品やサービスに関する理解を深め、顧客に的確な情報を提供できるようにする
- セールストークを指導し、効果的なコミュニケーションスキル、ニーズを引き出す質問、説得力のあるプレゼンテーション手法などを学ぶ
- 実際の営業場面を想定したロールプレイングを通して、実践的なスキルを向上させる
営業ツールの導入
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- CRM(Customer Relationship Management)を導入し、顧客情報を一元管理して営業活動の効率化を図る
- SFA(Sales Force Automation)を導入し、営業活動の進捗管理、予測分析などを支援する
- MA(Marketing Automation)を導入し、顧客とのコミュニケーションを自動化して効果的なリードナーチャリングを実施する
営業プロセスの最適化
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- 営業フローを可視化し、顧客との接触から成約までのプロセスを明確にしたり、ボトルネックを特定したりする
- 最適な営業プロセスを定義し、全社員で共通認識を持つ
- 営業活動の成果を測るためのKPIを設定し、定期的に進捗を評価する
ナレッジ共有
- 成功事例や失敗事例を共有し、組織全体のスキル向上を図る
- 営業担当者同士が気軽に質問し合えるような関係性を構築する
2. セールスイネーブルメントのメリット
セールスイネーブルメントは、個々の営業担当者のスキルアップだけでなく、組織全体の営業力向上を目的とした取り組みです。
以下では、セールスイネーブルメントに取り組む主なメリットを5つ紹介します。
2-1. 属人化の解消で人材育成を仕組み化できる
営業の現場では、トップセールスの持つノウハウが他のメンバーに共有されず、結果としてパフォーマンスにばらつきが生じることがあります。セールスイネーブルメントを導入することで個別のスキルに依存せず、標準化されたプロセスやトレーニングプログラムを構築できるようになります。これにより、新入社員や経験の浅いメンバーも、短期間で効率的に必要な知識やスキルを習得できるでしょう。
また、全員が同じ基準で教育を受け、統一されたアプローチで営業活動を展開できるため、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。営業活動が個々の才能に左右されず、安定した成果を生み出す体制が整うだけでなく、長期的に企業の成長を支える基盤の強化につながるでしょう。
2-2. 営業力の向上で売上拡大につながる
セールスイネーブルメントでは、体系的なトレーニングプログラムやロールプレイングなどを通じ、営業担当者の商品知識や顧客対応スキルを向上させることが可能です。営業担当者に必要な情報やツールを適切に提供し、営業プロセスを最適化することは、無駄な労力を省いてコア業務に専念できる環境づくりにも役立つため、営業力の底上げも期待できます。
顧客のニーズを的確に捉え、より効果的な提案ができるようになれば、受注率の向上にもつながるでしょう。
2-3. 営業プロセスの効率化を図れる
従来、営業活動は個々の経験や勘に頼ることが多く、非効率な部分や属人化が見られるケースが少なくありませんでした。セールスイネーブルメントを導入することで属人化の課題を解決し、より効率的な営業プロセスを構築することが可能になります。
具体的には、標準化された営業プロセスを策定し、全社員で共有することで、経験の浅い社員でもスムーズに業務を遂行できるようになります。また、CRMやSFAなどのツールを導入すれば、顧客情報や商談履歴を一元管理し、データに基づいた意思決定も可能になります。
2-4. 施策成果の分析に基づき営業戦略を立案できる
CRMやMAなど、さまざまなツールを活用し、顧客との接触履歴や商談内容、売上データなどを一元的に管理するのが最新の潮流です。過去の施策による結果を詳細に分析し、データを基に将来の営業戦略を立てることが可能です。
例えば、過去の施策の成功事例や失敗事例を分析することで、どのような施策が効果的で、どのような施策が効果が薄かったのかを特定できます。また、顧客の属性や行動パターンを分析すれば、顧客のニーズをより深く理解し、ターゲットを絞った施策を展開できるでしょう。
2-5. 営業とマーケティングの連携を強化できる
一般的に営業部門とマーケティング部門はそれぞれ異なる目標を持ち、別々の活動を行っていることが多く、部門間の連携が不足しているケースも少なくありません。セールスイネーブルメントの一環として、両部門が共通の目標を持ち、協力して顧客にアプローチするための仕組みを構築しましょう。
営業部門とマーケティング部門が密に連携することで、顧客に対して一貫性のあるメッセージと体験を提供できます。顧客満足度向上につながり、長期的な顧客関係の構築にも貢献するでしょう。さらに、営業部門のフィードバックを基に、マーケティング活動を改善すれば、より高品質なリードを獲得・育成できます。
3. セールスイネーブルメントが注目される理由
セールスイネーブルメントが注目される理由として、主に以下の3つの背景が挙げられます。
顧客ニーズの多様化と複雑化
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- 製品やサービスの選択肢が増え、顧客はより自社に合うものを求めるようになっている
- オンライン、オフライン、ソーシャルメディアなど、顧客の接触経路が複雑化し、一貫性のある顧客体験を提供することが求められている
- インターネットの普及により、顧客は自ら情報収集した上で比較検討を行うため、営業担当者はただ商品を説明するだけでなく、顧客の課題解決に貢献できるような深い知識と提案力が求められている
営業環境の変化
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- 市場競争が激化し、競合との差別化が難しくなっている
- 属人化された営業組織から、データドリブンな営業組織への転換が求められている
デジタル化・AIの進展とデータ活用
- CRMやMAなど、顧客に関するデータが大量に蓄積されるようになった
- 蓄積されたデータを分析し、顧客の行動パターンやニーズを深く理解することが求められている
- AIや機械学習を活用することで、より高度な顧客分析が可能になり、パーソナライズされた提案が可能になっている
他にも、近年では優秀な営業担当者の確保が難しいため、既存の営業担当者のスキルアップも求められるようになっています。
4. セールスイネーブルメントの対象領域
セールスイネーブルメントは、大きく4つの領域に分けられます。単に営業ツールや研修を導入するだけでなく、人材育成・プロセス改善・ナレッジ管理など、多岐にわたる取り組みを包括的に行う必要があります。
4-1. ナレッジ
セールスイネーブルメントにおけるナレッジは営業活動に直結する実践的な知見を指します。
顧客に関する情報、競合製品の情報、自社製品の知識など、多岐にわたるナレッジを共有することで、営業担当者はより深い知識と理解に基づいた提案ができるようになります。顧客のニーズをしっかり捉え、より顧客に刺さる提案がしやすくなり、成約率向上につながるでしょう。また、優秀な営業担当者が持つノウハウを組織全体で共有することで、個人の能力に依存せず、組織全体の営業力を底上げできます。
4-2. ワーク
ワークは、営業プロセス全体の最適化を指します。リードジェネレーションから、商談・クロージング・アフターフォローまで、営業活動におけるさまざまなプロセスを標準化し、効率化することで、組織全体の生産性を向上させる取り組みです。
各営業担当者がどのように顧客と接し、商談を進めているのかを可視化することで、ボトルネックや非効率な部分を特定できます。また、営業プロセスを標準化できれば、属人化を防ぎ、誰でも同じレベルの品質で営業活動を行えるでしょう。
4-3. ラーニング
ラーニングは、営業担当者のスキルアップのために学習機会を提供することを指します。営業活動で実際に役立つスキルを習得し、パフォーマンス向上につなげるための取り組みです。
ラーニングの具体例は、以下の通りです。
新入社員研修
会社や製品に関する基礎知識、営業の基本的な考え方などを学びます。
商品知識に関する研修
新製品の発売時や既存製品の機能アップデート時に最新の情報を習得します。
営業スキルに関する研修
プレゼンテーションスキル、交渉スキル、顧客対応スキルなどを習得します。
ロールプレイング
模擬的な営業場面を設定し、実際の営業活動で役立つスキルを練習します。
一度の研修で終わらせるのではなく、継続的な学習の機会を提供することが重要です。
4-4. ピープル
ピープルは、営業組織を支える人材のスキル定義と育成に関する取り組みです。営業担当者のスキルレベルを定量化し、現状のスキルセットと理想のレベルとのギャップを可視化します。どのスキルが不足しているのかを明確に把握した上で、必要なトレーニングや育成プランを策定できます。
また、営業担当者一人ひとりの能力を最大限に引き出し、モチベーションを高めることも大切です。従業員が働きがいを感じられれば定着率も向上し、長く組織に貢献できるようになります。
5. セールスイネーブルメントの実施方法
セールスイネーブルメントの実施方法は、企業の規模や業種、目標によって異なりますが、一般的には以下のようなステップを踏んで実施されます。セールスイネーブルメントを成功させるためには、トップマネジメントのコミットメント、従業員の協力、継続的な改善が不可欠です。
5-1. CRMやSFAツールを導入してデータを収集する
セールスイネーブルメントにおいて、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)といったツールの導入は、データに基づいた営業活動の改善を推進するために不可欠です。
CRMやSFAの導入メリットは、以下が挙げられます。
顧客情報の集約
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- 顧客の属性、過去の購入履歴、問い合わせ内容などを一元管理できる
- 顧客一人ひとりに合わせたきめ細かい対応が可能になる
営業活動の可視化
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- 商談履歴、商談内容、案件の進捗状況などを記録し、営業活動全体を可視化できる
- ボトルネックや改善点の特定に役立つ
データに基づいた意思決定
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- 収集されたデータを分析することで、営業戦略の策定や目標設定に役立つ情報を取得できる
営業効率の向上
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- 手作業によるデータ入力や情報検索の手間を省き、営業活動に集中できるようになる
チーム全体の連携強化
- 共通のプラットフォームで情報を共有することで、チーム全体の連携を強化できる
5-2. 専用の部署・担当者を配置する
セールスイネーブルメントを成功させるには、専用の部署や担当者を配置し、組織全体を横断的に支援することも1つの手段です。セールスイネーブルメントは、一過性の取り組みではなく、継続的な改善が必要なものです。
セールスイネーブルメントに特化した知識やスキルを持つ専任の担当者がいれば、より深いレベルかつ長期的な視点で課題解決に取り組めるでしょう。営業部門、マーケティング部門、カスタマーサクセス部門など、さまざまな部門と連携し、組織全体の目標達成を支援するような仕組みを整えましょう。
5-3. 施策の成果や貢献度を視覚化する
セールスイネーブルメントで実施した施策の効果を正確に把握し、今後の改善に生かすためには、成果を数値化・視覚化することも大切です。数字だけでは分かりづらい施策の効果を、グラフや図を用いて視覚的に表現することで、関係者全員が共通の認識を持つことができます。問題点や改善点に早期に気づき、迅速に対応しやすくなるでしょう。
また、視覚的な資料は経営層への報告に役立ち、セールスイネーブルメントの重要性を理解してもらうきっかけにもなります。
5-4. ノウハウを体系化したプログラムを開発する
ノウハウを体系化したプログラムを開発することで、過去の成功事例やベストプラクティスを体系的に整理し、営業担当者がいつでも参照できる仕組みを構築できます。抽出されたノウハウを基に、マニュアルや動画、eラーニングなど、さまざまな形式の教材を作成しましょう。
例えば、営業プロセスのマニュアル、製品知識データベース、ロールプレイングシナリオ、FAQ集などが挙げられます。新人向け、経験者向けなど、対象者別に内容を調整するとよいでしょう。特定の個人に依存していたノウハウを組織全体の共有財産にすることで属人化を防ぎ、組織全体の生産性を向上させます。
5-5. 経営層にも結果を共有してPDCAサイクルを回す
経営層と連携してPDCAサイクルを回すことで、より効果的なセールスイネーブルメントを実現できます。経営層に共有するメリットとして、セールスイネーブルメントの取り組みが企業全体の目標達成に貢献していることを理解してもらえること、および継続的な支援を得やすくなることが挙げられます。
経営層がセールスイネーブルメントを重視していることを示せば、担当従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
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セールスイネーブルメントの一環として、営業支援ツールの導入や、営業プロセスの最適化を図ることで、営業活動を効率化できます。そのためには、経営・マネジメント層がセールスイネーブルメントの重要性を理解し、積極的に支援することが重要です。
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