東京都が実施するカスハラ対策奨励金とは?種類や支給要件を徹底解説
「悪質なクレームで従業員が疲弊している」「カスタマーハラスメントが原因で人材が定着しない」など、カスハラ行為に悩む企業は少なくありません。近年、サービス現場におけるカスハラは社会問題となっており、東京都でも対策の強化が進んでいます。2025年には東京都で全国初となるカスハラ条例が施行され、中小企業向けの奨励金制度もスタートしました。
当記事では、東京都のカスハラ対策奨励金の概要・支給要件・申請方法について詳しく説明します。カスハラ対策奨励金の対象となるおすすめのサービスも紹介しますので、制度を活用してカスハラを未然に防ぎ、従業員が安心して働ける職場づくりを目指しましょう。
目次
1. 東京都がカスハラ防止条例を制定

2025年4月1日、東京都は全国初となる「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、暴言や過度な要求など、就業者の就業環境を害する著しい迷惑行為を指します。
本条例は、顧客と働く人が対等な立場でお互いを尊重し、公正で持続可能な社会を目指すことを目的としています。カスハラの禁止(第4条)や、顧客の権利を不当に侵害しないための留意点(第5条)が明記され、事業者には対策の実施や手引の作成などの責務(第14条)が求められています。
2. カスハラ防止条例が制定された背景
近年、カスタマーハラスメントの深刻化が社会問題となっており、従業員の心身への影響や企業活動への悪影響が懸念されています。ここからは、東京都でカスハラ防止条例の制定に至った背景を解説します。
2-1. カスハラの事例の増加
近年、顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)の相談件数は増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、過去3年間に顧客等からの迷惑行為について「件数が増加している」と回答した企業の割合は、他のハラスメントよりも高い結果となりました。該当する事案があると回答した企業は86.8%にのぼり、その多くが「継続的な、執拗な言動」(72.1%)を経験しています。
また、行為者の91.6%は顧客等(患者やその家族を含む)であり、被害内容としては「通常業務の遂行への悪影響」(63.4%)が最多で、カスハラ被害による業務への支障が深刻な問題となっていることが浮き彫りになっています。
【過去3年間に相談があった企業における相談件数の割合】
ハラスメントの種類 | 過去3年間に相談件数が増加している | 過去3年間に相談があり、件数は変わらない | 過去3年間に相談件数は減少している |
---|---|---|---|
顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ) | 23.2% | 23.6% | 11.4% |
パワーハラスメント(パワハラ) | 19.6% | 30.2% | 21.8% |
セクシュアルハラスメント(セクハラ) | 11.0% | 27.3% | 31.4% |
介護休業等に関するハラスメント | 12.3% | 30.2% | 21.6% |
妊娠・出産・育児休業等ハラスメント | 13.7% | 27.0% | 25.1% |
出典:厚生労働省「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」
また、サービス業を中心とする対面接客の現場で被害が多く報告されています。たとえば、長時間の詰問や不当な謝罪要求、暴言・暴力、執拗な連絡先の要求などが挙げられます。中には、従業員に土下座を強要したり、自宅での謝罪を求めて深夜まで拘束したりするなど、精神的・身体的に重大な影響を及ぼす事例も少なくありません。
2-2. カスハラによる従業員への影響
カスハラは、従業員に深刻な精神的負担を与えます。厚生労働省の調査によると、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた従業員の63.8%が「怒りや不満、不安などを感じた」と回答し、46.1%が「仕事に対する意欲が減退した」と答えています。
【ハラスメントを受けたことによる心身への影響】
影響内容 | カスハラ | パワハラ | セクハラ |
---|---|---|---|
怒り・不満・不安などを感じた | 63.8% | 68.5% | 48.5% |
仕事に対する意欲が減退した | 46.1% | 61.1% | 33.0% |
出典:厚生労働省「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」
カスハラは、従業員の業務のパフォーマンス低下や現場対応への恐怖を引き起こすほか、頭痛や睡眠不良、耳鳴り、精神疾患といった健康不良に発展するケースも少なくありません。最悪の場合は退職に至ることもあり、従業員個人だけでなく企業全体に深刻な影響を及ぼす要因となっています。
3. 東京都が実施するカスハラ対策の奨励金とは?

東京都は、都内の中小企業や業界団体が実践的なカスハラ対策に取り組むことを支援するための奨励金制度を設けています。奨励金制度は、企業向けと団体向けに分けて用意されています。
奨励金の対象となる取り組みは、録音・録画環境の整備やAIシステムの導入、外部人材の活用、カスハラ対策研修の実施などです。一定の要件を満たすことで、奨励金が支給されます。また、条例の普及啓発や相談窓口の設置、介護・医療現場への支援など、幅広い領域で対策が進められています。
出典:東京都「主要な施策」
4. 東京都のカスハラ対策奨励金の種類は3つ
東京都では、「企業向け奨励金」「団体向け奨励金」「団体向け補助金」の3種類を用意しています。ここからは、各奨励金における対象や概要を説明します。
4-1. 企業向けの奨励金
企業向けの奨励金は、条例施行日である2025年4月1日以降にカスハラ対策マニュアルを作成し、実践的なカスハラ防止対策を実施した事業者に対して支給されます。対象となるのは、常時雇用する従業員が300人以下で、都内に本店や事業所を構える中小企業や個人事業主です。
加えて、都税の未納がない、法令違反がない、反社会的勢力との関係がないなど、細かな要件を満たす必要があります。募集枠は各回1,000件とされており、1社あたり40万円(定額)が支給されます。
4-2. 団体向けの奨励金
団体向けの奨励金は、カスタマーハラスメント防止対策として、会員企業やその従業員に向けた体制整備を行った業界団体などに支給されます。対象となるのは、一般社団法人・一般財団法人・公益法人・事業協同組合などで構成され、都内を活動範囲とし、都内に住所または事務所がある業界団体などです。
なお、カスタマーハラスメント防止対策が都の交付決定を受けた取り組みであることも条件となります。奨励金の募集枠は30件とされており、1団体あたり最大100万円が支給されます。
4-3. 団体向けの補助金
団体向けの補助金は、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の基本理念に基づき、顧客への啓発や迷惑行為の未然防止などを目的とした広報物の制作に要する経費を補助する制度です。対象となるのは、一般社団法人・一般財団法人・公益法人・事業協同組合などで構成され、都内を活動範囲とし、都内に住所または事務所がある業界団体などです。
ただし、補助の対象となるのは、都の制度要件を満たした普及啓発の取り組みに限られます。補助の上限は1団体あたり5,000万円で、補助率は対象経費の2分の1、募集枠は10団体とされています。
5. カスハラ対策の企業向け奨励金の支給要件
企業向け奨励金を受給するには、カスハラ防止に向けた具体的な取り組みを実施し、東京都が定める申請要件をすべて満たす必要があります。ここでは、その主な要件を紹介します。
5-1. カスハラ防止マニュアルを作成する
企業向け奨励金を受給するためには、カスハラ対策に関するマニュアルの整備と、それに基づく社内外への周知が求められています。まず、2025年4月1日以降にカスハラ防止マニュアルを新たに作成または改定し、東京都が定める必須項目すべてを網羅する必要があります。単なる章立てではなく、具体的な内容を盛り込むこと、さらに「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」への言及があることが条件です。
また、策定したマニュアル内で明示した基本方針は、社内と社外に周知しなければなりません。社外への周知方法としては、店頭や自社ホームページへの掲示、顧客先への案内などが求められています。
5-2. 録音・録画環境を整備する
2025年4月1日以降に録音・録画機器を購入または6か月以上の契約でリースを行い、職場に設置した場合、企業向け奨励金の支給対象です。申請条件を満たすには、録音・録画を主とした機器本体を導入する必要があります。
また、盗聴や盗撮と誤解されないよう配慮した運用ルールの策定も求められています。録音・録画環境を整備した旨を社外に周知し、それによりカスハラ対策が進んだことを支給申請書に記載しなければなりません。
5-3. AIを活用したシステムを導入する
対象となるのは、2025年4月1日以降にAI技術を用いたシステムやサービスを新たに購入または6か月以上の契約で導入した事業者です。導入にあたっては、システムの具体的な運用ルールを策定し、システムを導入した旨を社内に周知を行わなければなりません。
また、支給申請書にはシステムによってカスハラ対策が進んだことの明記が必要です。加えて、「AIを活用していること」「カスハラ対策に利用できること」が客観的に分かる、パンフレットやホームページなどの資料提出も求められています。
5-4. 外部人材を活用する
外部人材の活用とは、カスハラ対策を推進するために、社内の課題改善を目的として外部の専門人材と新たに契約を結ぶことを指します。対象となる契約には、弁護士や社会保険労務士などとの相談対応に関する継続的な契約、研修講師などとの社内研修のためのスポット契約、自社の警備体制を強化するための警備会社との法人契約があります。
2025年4月1日以降の契約であることが前提となり、継続契約の場合は運用ルールの策定も必要です。また、契約内容を社内で周知し、外部人材の活用によってカスハラ対策が進んだことを支給申請書に記載しなければなりません。
6. カスハラ対策奨励金・補助金の申請方法・期間は?

カスタマーハラスメント対策奨励金・補助金の申請方法と申請期間は、支援の種類によって異なります。
- 企業向け奨励金
国の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から申請が可能で、gBizIDプライムの取得が必須です。2025年度は年3回の申請受付が予定されており、第1回の申請は予定件数を超えたため7月22日で終了、第2回は9月頃に開始予定です。 - 団体向け奨励金
6月30日から7月25日までに事前エントリーを行い、抽選結果に基づいて8月29日までに書類を提出します。申請は郵送またはjGrantsで行います。 - 団体向け補助金
4月30日から7月31日までに申請書をメールまたは郵送で提出し、8月下旬に補助対象団体が決定します。取り組みは、2026年2月末までに完了している必要があります。
7. カスハラ対策奨励金の申請に向けて準備すべきこと
カスタマーハラスメント対策奨励金を申請する際は、事前準備が重要です。ここでは、申請に向けて企業が取り組むべき準備内容を具体的に紹介します。
7-1. 実施予定の対策を計画し見積もりを用意する
カスタマーハラスメント対策奨励金の申請に向けては、あらかじめ自社に合う対策内容を判断し、導入計画と費用の見積もりを考えましょう。企業が奨励金を受け取るには、カスハラ防止対策マニュアルの作成のほか、「録音・録画機器の整備」「AIを活用したシステムの導入」「外部人材の活用」のうちいずれかを実施する必要があります。
自社の課題や業務環境を踏まえ、適切な対策を選択するとよいでしょう。選んだ対策に応じて導入にかかる費用の見積もりを前もって取得すると、申請受付開始後に速やかに対応でき、採択の可能性を高められます。
7-2. 申請に向けた社内体制を整備する
まずは、カスハラ発生時の報告・相談ルートの構築、対応責任者の明確化、従業員への周知方法の設計といった社内整備を進めましょう。その上で、カスハラ防止マニュアルの作成に着手します。マニュアル作成時はまず「カスハラを許容しない」という企業の基本方針を明文化してから、初期対応・上司への報告・責任者判断・対応完了など、カスハラ発生時の具体的なフローを策定しましょう。
カスハラ防止マニュアルを作る際は、「誰でも理解しやすい内容」「過去事例の具体的な記載」「定期的な更新」を意識することがポイントです。文章だけでなく図表やフローチャートを活用し、マニュアルをオンラインで共有できると、実務で活用しやすくなります。
7-3. 申請資格を事前に確認する
カスタマーハラスメント対策奨励金を申請する前に、自社が支給対象となるか必ず確認しましょう。企業向け奨励金の対象は、東京都内に事業所があり、常時雇用する従業員が300人以下の中小企業や個人事業主に限定されています。
要件を満たしていない場合、申請が受理されない恐れがあります。募集要項をもとに自社がすべての条件を満たしているか確認した上で、申請を出しましょう。
8. カスハラ対策には「対面カスハラ対策 録音スターターパックby AI音声認識 AmiVoice」
「対面カスハラ対策 録音スターターパックby AI音声認識 AmiVoice」は、対面接客現場での会話を録音・テキスト化し、トラブルの予防や証拠保全に役立つカスハラ対策サービスです。東京都のカスハラ対策奨励金を活用すれば、自己負担0円で導入することが可能です。
ここからは、「対面カスハラ対策 録音スターターパックby AI音声認識 AmiVoice」の特徴を詳しく紹介します。
8-1. 音声認識で会話を文字で記録できる
顧客対応中の会話を録音し、AI音声認識によって自動で文字起こしされた内容は、クラウド上に音声とテキストとして保存されます。これにより、日時や応対者、キーワードでの検索が可能となり、カスタマーハラスメントに関する発言をすばやく確認することが可能です。
録音中である旨を明示することで、過剰な言動を抑止できるほか、トラブル発生時には「言った・言わない」の行き違いを防ぐ証拠として活用できます。また、蓄積されたデータは傾向分析にも役立つため、分析結果をもとにマニュアルを見直せば、従業員教育の質向上を図れるでしょう。
8-2. すぐに使える・3台まで利用できる
専用機器を購入する必要がなく、手持ちのスマートフォンやパソコンにアプリをインストールするだけですぐに使い始められます。導入の手間を最小限に抑えられるため、特別なIT環境や知識がなくてもスムーズに運用できる点がメリットです。
また、1契約につき最大3台の端末で利用可能となっており、複数の接客担当者がいる店舗や拠点でも柔軟に対応できます。音声データは月500時間まで保存でき、会話の記録を長期間管理・分析することも可能です。
8-3. 高いセキュリティ環境で運用できる
国内の環境でサービスを運用しており、録音された音声データが海外に送信されることはありません。そのため、情報漏えいや外部へのデータ流出のリスクを抑えた高いセキュリティ水準を実現しています。
強固なセキュリティ体制により、飲食・小売り・宿泊・娯楽・不動産・病院やクリニック・警備など、プライバシー保護が求められる業種でも活用できます。顧客との会話内容という機密性の高い情報を扱うにあたって、安心して導入・運用できるカスタマーハラスメント対策ツールです。
対面カスハラ対策には「録音スターターパックby AI音声認識 AmiVoice」が活用できます
カスハラは年々深刻化しており、従業員のメンタルヘルスや企業の業務継続に大きな影響を及ぼしています。こうした状況を受け、東京都では「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行し、カスハラ予防対策を行う中小企業や団体に奨励金・補助金を支給しています。
東京都のカスハラ奨励金も活用しながら、効果的なカスハラ防止策を講じたい場合は、「対面カスハラ対策 録音スターターパック by AI音声認識 AmiVoice」がおすすめです。
スマートフォンやアプリにインストールするだけで、会話の録音・テキスト化が可能です。安心のセキュリティ環境で、あらゆる接客現場に対応できます。東京都の「カスハラ対策奨励金」を活用すれば、実質自己負担0円で導入することが可能です。 奨励金の活用と併せてぜひご検討ください。